大手住宅メーカーの地面師による詐欺被害は、税務上どういった扱いになるか??

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大手住宅メーカーの地面師による詐欺被害は、税務上どういった扱いになるか??

大手住宅メーカーの地面師による詐欺被害は、税務上どういった扱いになるか??

 

大手住宅メーカーの積水ハウスが、分譲マンション建設用地の購入代金として支払った63億円について、書面偽造による詐欺被害に遭遇したことが、新聞等ニュースで取り上げられ、その金額の大きさから世間を賑わせています。

 

現在、顧問弁護士や警察に被害の相談をしながら、支払った63億円の保全ができないか全力を尽くしているそうです。

 

事業を経営していく上で、ここまでの金額ではなくても、詐欺被害に遭うケースというのは、充分起こりうることです。

 

この点、詐欺被害を受けた会社は、税務上の取扱いがどのようになっているかをご説明します。

 

商取引上ではなく、個人が詐欺被害にあった場合については、こちらのコラムにて。

 

『オレオレ詐欺やスキミング犯罪は、確定申告で申告できる??』

 

注)当コラムはあくまでも一般的な見解を示しているものであり、事情の異なる個々の事案によっては、判断が異なることがあります。

 

そもそも、法人の損金として計上されるのはどういったもの??

 

法人税法上、経費計上が認められる費用のことを、「損金」といいます。

 

損金についての細かい説明は、こちら『法人の損金とは?』

 

損金として認められる範囲については、法人税法に規定されています。

 

法人税法22条3項

1号)当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額

2号)前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額

3号)当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの

 

3号に該当する損失とは、「風水害・盗難等の偶発的事故による資産の滅失、貸倒れによる売掛金の喪失、消滅時効の完成による債権の消滅など、事業遂行の過程で生じた支出であるが、収益発生に役立たなかった資産の絶対的な減少をいう。」注)畠山武道「租税法」217頁(青林書院)とされています。

 

そのため、詐欺被害による損失については、3号の損失に該当すると考えられます。

 

それぞれの損金としての計上時期は??

 

上記の1号、2号、3号の損金としての計上時期を確認していきます。

 

1号については、費用収益対応の原則により、売上に対応する年度にて損金の額に算入されます。

 

2号については、カッコ書きの要件により、債務確定主義によるものとされており、債務の確定が要件とされています。

 

そのため、支出するだけでなく、実際に債務が確定した時期をもって、損金の額に算入されます。

 

債務の確定の要件については、法人税法基本通達に規定されています。

 

法人税法基本通達(債務の確定の判定)

「法22条3項2号の償却費以外の費で当該事業年度終了の日までに債務が確定しているものとは、別に定めるものを除き、次に掲げる要件の全てに該当するものとする。」

(1)当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること。

(2)当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。

(3)当該事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。

 

債務が確定しているかについては、上記の通達の規定の要件を満たしているか判断をする必要があります。

 

3号については、費用収益対応の原則や債務確定主義は要件とされていません。

 

そのため、その損失が発生した時の損金の額に算入されるものと考えます。

 

実際に詐欺被害に遭った日の属する事業年度において、損金の額に計上されます。

 

では、加害者に対して損害賠償請求した場合の回収額については、どうなるか??

 

詐欺被害に遭った場合、加害者の行った行為は、民法上の不法行為(その行為によって他人に生じた損害を賠償する責任が生ずる場合におけるその行為。)に該当します。

 

不法行為については、民法709条により、「故意又は過失によって他人の権利を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責を負う。」こととされています。

 

そのため、詐欺被害に遭った場合は、損失が発生すると同時に、加害者に対する損害賠償請求権も発生します。

 

この損害賠償請求権については、どのような取扱いになっているのでしょうか??

 

損害賠償請求権の計上時期について。

 

加害者に対する損害賠償請求権の計上については、加害者が以下のどちらかによってその取扱いが異なっています。

 

①加害者が、法人の役員や従業員の場合。(個々の事案の実態に基づいて判断が必要なため、今回は割愛します。)

 

②加害者が、法人外部の第三者の場合。

 

①のケースというのは、業務上横領の場合などです。

 

今回の大手住宅メーカーのような書類偽造による詐欺被害は、一般的には、社外の第三者の犯行ですので、②のケースに該当します。

 

この場合の取扱いは、法人税法基本通達にその計上時期が規定されています。

 

損賠賠償請求権の益金計上時期の取扱い。

 

法人税法基本通達2-1-43(損害賠償金等の帰属の時期)

「他の者から支払を受ける損害賠償金の額は、その支払を受けるべきことが確定した日の属する事業年度の益金の額に算入するのであるが、法人がその損害賠償金の額について実際に支払を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入している場合には、これを認める。」

 

つまり、原則として、示談や裁判等により、支払を受けるべきことが確定した日の属する事業年度の益金として計上するとなっています。

 

すなわち、潜在的な損害賠償請求権の収益計上は要求されていません。

 

また、法人が実際に支払いを受けた日の属する事業年度の益金として計上した場合も、これを認めると弾力的な取扱いになっていることが分かります。

 

例外として、回収基準も認められているということです。

 

なぜ、第三者が行った不法行為に係る損害賠償請求権について、弾力的な取扱いが認められているか。

 

第三者が行った不法行為に係る収益計上については、なぜ弾力的な取扱いが認めれているかは、同通達の解説書にその趣旨が説明されています。

 

(1)この種の問題については、そもそも相手方に損害賠償責任があるかどうかについて当事者間に争いのあることが少なくない。

 

(2)仮に相手方に損害賠償責任のあることが明確であるとしても、具体的にいかなる金額の損害賠償を受け得るのかについては、当事者間の合意又は裁判の結果等を待たなければ確定しないのが普通である。

 

(3)仮にその損害賠償金の支払を受けること及びその額について当事者間に合意があったとしても、相手方の支払能力などからみて、果たして実際にその支払を受けることができるのかどうかについて問題の場合が少なくない。

 

注)奥田芳彦「法人税基本通達逐条解説」142頁(税務研究会出版局)

 

つまり、現実には、損害賠償金等の支払いは期待できない困難な面があることから、その間の法人の担税力(税負担を受け持つことができる能力)の欠如を考慮したものとなっています。

 

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