美容室で面貸しする場合の注意点!!オーナーも働く側も気をつけておくべきこと。

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美容室で面貸しする場合の注意点!!オーナーも働く側も気をつけておくべきこと。

美容室で面貸しする場合の注意点!!オーナーも働く側も気をつけておくべきこと。

 

美容室では、長時間労働や社会保険の加入、スタイリストの指導教育など、様々な経営課題がオーナーさんの悩みとなっています。

 

最近増えている業務委託形態である、「面貸し」について、注意すべき点をご説明します。

 

面貸しとは・・・美容室の空いているセット面を間借りして、オーナーさんと売上に応じた歩合報酬による請負契約を結び、独立開業する形態をいいます。

 

以下、面貸しで働いている人に支払う業務委託費は、「外注費」とします。

 

外注費にした場合の、オーナー側のメリットとデメリット。

 

《給料と外注費による取扱いの違い》

区分

契約内容 源泉所得税 社会保険料 消費税

所得区分

給料 雇用契約 源泉徴収税額表により、源泉徴収義務有り。 半額を負担 課税対象外 給与所得
外注費 請負契約 美容業の場合、源泉徴収の必要なし。 課税対象 事業所得

 

▼面貸しのオーナー側のメリット

・直接雇用ではないため、労災保険や雇用保険、社会保険料などの負担がいらない。

・外注費は、消費税の仕入税額控除を受けることができるため、消費税の納税負担を抑えることができる。

・外注費は、住民税や所得税を徴収する必要がないため、事務手続きが簡素化できる。

・外注費は、給与と違い年末調整をする必要がない。

・完全歩合による報酬支払いのため、お客さんがいないアイドリングタイムの人件費を抑制できる。

・売上に応じた報酬支払のため、人材教育にかかる人件費を抑制できる。

 

▼面貸しのオーナー側のデメリット

・税務署と労働基準監督署に対して、面貸し(請負契約)であることを証明できる書類を整備しておく必要がある。

・従業員との雇用関係がないため、一緒に盛り上げていく仲間を集めにくい。

・外注している美容師さんへのクレームであっても、店舗イメージが悪化することがある。

・報酬が完全歩合のため、チームによる成果をあげにくい。

 

面貸しとして働く側のメリットとデメリット。

 

▼面貸しとして働く側のメリット

・基本的には、来客時に対応すればいいため、店舗の営業時間中ずっと拘束されない。

・給与は自動的に税金が計算されるが、報酬による事業所得として確定申告することで、節税対応することも可能。

・店舗をかまえる必要がないため、開業初期投資が必要ない。

・経営感覚を学ぶことができる。

・店舗の固定費を払う必要がないため、経営リスクが少ない。

・毎年、売上と経費を集計して確定申告をしなければいけない。

・雇用ではないため、出産手当金などの保障がある社会保険に加入することができない。

 

▼面貸しとして働く側のデメリット

・報酬が完全歩合のため、雇用保険など安定した給与保障がない。

・オーナーと歩合率交渉にあたり、納得いかないことがある。

・腕一本で勝負していかなければいかないため、チームではなく自分ひとりの力が試される。

・請負契約のため、いつ契約打ち切りになるか分からない。

 

そもそも給与と外注の違いは??民法の規定から見る、給与と外注の判断基準。

 

▼給料とは??

 

民法623条(雇用)

「雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。」

 

▼外注費とは??

 

民法623条(請負)

「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」

 

上記の通り、給与の場合は、雇用主から指揮命令により拘束された労働時間に対する対価として給与をもらいます。

 

逆に、外注の場合は、オーナーからの指揮命令はなく、委託された仕事を完成することで、その対価を報酬としてもらいます。

 

税務上、外注費として認められるためには、上記の民法上の規定に加えて考慮しないといけない事項があります。

 

所得税法と消費税法における事業所得とは??

 

面貸しの実態が給与なのか請負契約なのかは、上記の民法上の規定に沿っているかどうかが重要な判断基準ですが、税務上は、申し少し詳細な判断基準を満たす必要があります。

 

所得税法上、事業所得として認められるためには、最高裁判決昭和56年4月24日により示された、以下の定義が判断基準となります。

 

▼事業所得とは??

 

最高裁昭和56年4月24日判決(事業とは)

「事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいう。」

 

また、消費税法上は、消費税法基本通達1-1-1により、請負契約と給与の区分方法を規定しています。

 

▼消費税法上の請負契約とは??

 

消費税法基本通達5-1-1(事業とは)

「事業とは、同種の行為を反復、継続、独立して行うことをいう。」

消費税法基本通達1-1-1(事業者とは)

「事業者とは、自己の計算において独立して事業を行う者をいう。」

消費税法基本通達1-1-1(個人事業者と給与所得者の区分)

ア その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。

イ 役務の提供にあたり事業者の指揮監督を受けるかどうか。

ウ まだ引渡しを完了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。

エ 役務の提供に係る材料又は用具等の供与をされているかどうか。

 

税務上も認められるために必要な、面貸し請負契約の内容とは??

 

要約すると、請負契約(事業所得)であるためには、次のような契約内容になっているかが重要です。

 

①オーナーとの請負契約上、請負人が、他の人へも外注することが可能となっていること。

②仕事内容に関して、オーナーから指揮命令を受けないこと。

③遅刻欠勤などの、時間的拘束を受けないこと。

④仕事が完成した分しか報酬の請求ができないこと。

⑤オーナーが購入している薬剤などの材料を請負人が負担していること。(薬剤負担は、売上歩合率の調整でも可能)

⑥カットに用いる作業用具は、請負人が購入していること。

 

美容室と面貸しとして働く人は、必ず業務委託契約書を結んでお互い請負であることを理解しておきましょう!!

 

税務上は、面貸しを請負契約として処理するためには、いくつかの税務上のルールを満たす必要があることが分かりました。

 

では、面貸しとして働いていた人が、退職後に労働基準監督署へ行き、「給料(従業員)として採用されたと思ったので、実際に働いてみたら外注扱いとなっており、不当に残業が発生していた。」と相談されたらどうなるでしょうか??

 

この場合、実態に応じた解決が図られるのが通常ですが、やはり、業務委託を証明する何の書類も無く、口頭だけで契約して店舗運営を行っている場合は、オーナー側にとって非常に不利となります。

 

それは、労働基準監督署だけでなく、税務署が行う税務署調査の場合も同様です。

 

面貸しとして働く人との契約時には、キチンと契約書を作成して、お互い内容を読み合わせ、双方納得した上で、署名押印して実際の業務を開始することが大切です。

 

そうして、お互いが業務委託契約であるという認識もある、委託契約書も整備してある。

 

この運用形態であれば、労働基準監督署や税務署の担当者も業務委託であることを納得し、無用な指摘を回避することができます。

 

本来であれば、実質や実態で判断するべき事項ですが、調査官は、客観的にも証拠として分かりやすい外形的・形式的な根拠を探してきます。

 

その外形的・形式的な根拠書類として、業務委託契約書があれば、給与ではなく外注費であることを主張する有利な状況を作ることができます。

 

▼面貸しとして業務委託する場合の注意点

 

・業務委託契約書を作成して、双方の署名押印をして保管しましょう。

 

サロンの税のこと相談室では、必要なお客様には、業務委託契約書のひな形をお渡ししています。

 

実際に業務委託契約書を整備した方が良いことは分かったけれど、どのような書面を作成したらいいか分からない、、、。

 

こういった美容室オーナーの為に、サロンの税のこと相談室では、業務委託契約書のひな形を準備しています。

 

後は、具体的な報酬額の算定方法など、お客様ごとに異なる記載が必要となる箇所を、一部修正するだけで契約書が完成します。

 

業務委託契約書では、税務調査において、外注費であることの客観証拠として主張できるように、確定申告の有無についても触れるようにしています。

 

オーナーと面貸しとして働く方の双方が、面貸し報酬は、事業所得として確定申告の必要性があることを明確に認識できるような条項を記載することで、税務調査で否認されにくいより良い状況を作り出しています。

 

▼面貸しによる業務委託契約書のひな形

 

 

 

面貸しとして働くことになった場合、すぐに行ってほしいこと!!

 

美容室と業務委託契約を結び、面貸しとして働くこととなった場合、必ず行ってほしいことがあります。

 

面貸しとして働く美容師さんは、個人事業主として開業したことになります。

 

そのため、個人事業を開業したことを税務署へ届出を行ってください。

 

▼税務署へ届出書を提出しましょう。

 

①個人事業の開業届出書

②所得税の青色申告承認申請書

 

※青色申告承認申請書は、開業(面貸しの委託契約日)から2か月以内に提出する必要があります。

 

青色申告は、税金の計算に直接影響します。

 

儲けが出ている美容室さんであれば、青色申告することで、所得税・住民税・国民健康保険を合わせて約20万円ほど税金の負担を抑えることができます。

 

青色申告の節税メリットについての計算例を提示しています。→ 『青色申告の節税メリット』

 

届出書は、税務署に行ったら用紙をもらえます。

 

もちろん、税理士に確定申告と一緒に代理で依頼することもできます。

 

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