法人が有する貸付金については、どうしたら貸倒処理できるか??

column

コラム

法人が有する貸付金については、どうしたら貸倒処理できるか??

法人が有する貸付金については、どうしたら貸倒処理できるか??

 

A社がB社(第三者)に対して、お金を貸しているけれど、返済してくれないし、返済してくれる見込みもなさそう。

 

A社は業績好調で利益が出ているため、回収できないのであれば、節税のために経費処理(貸倒損失)を行いたい。

 

この場合、法人税のルール上、貸倒損失を計上するためには、細かい要件を満たす必要があります。

 

なぜ貸倒損失を計上する場合には、細かい要件を満たす必要があるか??

 

ある日、税務調査が入り、調査官から貸倒損失計上の理由を聞かれた場合、調査官と会社のどちらに立証責任があるのでしょうか?

 

貸倒損失については、税務調査での立証責任は、納税者である「会社」にあります。

 

そのため、細かい要件であっても充分に理解をした上で、貸倒処理を行うことが重要です。

 

法人税法における貸倒損失の損金算入要件。

 

貸倒損失については、法人税法第22条3項3号に規定がありますが、具体的な細かい要件については、法人税法基本通達に規定されています。

 

法人税法基本通達は、法律ではなく、あくまでも法律を解釈した取扱いを定めたものですが、税務署の職員は、内部取扱いに従った運用を行う必要があるため、実際の税務上の取扱いは、この法人税法基本通達通りに運用されています。

 

貸倒損失の損金算入要件の3つの分類。

 

貸倒損失を認める要件については、大きく分けて次の3つに分類されています。

 

※法人税法基本通達=法基通

 

①法基通9-6-1(法律上の貸倒れ)

 

②法基通9-6-2(事実上の貸倒れ)

 

③法基通9-6-3(形式上の貸倒れ)

 

※③の規定は、売掛債権の場合にのみ適用があり、今回のような貸付金の場合には、適用ありません。

 

法基通9-6-1(法律上の貸倒れ)について

 

法基通9-6-1 法人の有する金銭債権について次に掲げる事実が発生した場合には、その金銭債権の額のうち次に掲げる金額は、その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入する。

(1)更生計画認可の決定又は再生計画認可の決定があった場合において、これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額

(2)特別清算に係る協定の認可の決定があった場合において、この決定により切り捨てられることとなった部分の金額

(3)法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で次に掲げるものにより切り捨てられることとなった部分の金額

イ 債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの

ロ 行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がイに準ずるもの

(4)債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額

 

要約すると、金銭債権の一部又は全部が、法的手続きにより切り捨てられた場合は、損金を認めるという規定です。

 

①法律上の手続きにより、回収できないことが決定。

 

→ 法律上の手続きによりますので、裁判所等から債権切り捨て決定の書面通知がなければ、認められません。

 

②書面により債務免除を行うことが決定。

 

→ 書面により債務免除を行った旨を証明する書類の保管が必要です。

 

書面による債務免除の注意点。

 

法基通9-6-1(4)の書面による債務免除については、相手方へ債権放棄する旨の通知を送付するだけでは要件を満たしません。

 

通達を確認すると、書面による通知の前に2つ要件が規定されています。

 

①債務者の債務超過の状態が相当期間継続(債務超過状態継続の要件)

 

②その金銭債権の弁済を受けることができない(回収不能の要件)

 

この2つを満たしていると判断した上で、債権放棄の書面を通知した場合に、はじめて貸倒れ処理が認められます。

 

▼債務超過状態継続の要件

・債務超過の状態が形式的に何年ということはなく、あくまでも個別事情によります。

・通常、3年~5年ぐらいが継続していると見ることが多いです。

・例え1年~2年であっても、絶対にダメということはなく、その会社の財務状況の悪化が著しい場合は、該当することもあります。

 

▼回収不能の要件

・回収不要というためには、単に決められた弁済期に履行がなく、あるいは履行できないというだけでは足りません。

・将来にわたり弁済を受ける見込みがないことが必要です。

 

また、実際の債権放棄にあたっても、なぜ放棄するのか、債権放棄の必要性も検討する必要があります。

 

▼債権放棄の必要性

・債権放棄をしなければ、債務者に倒産の可能性がある。

・債権放棄をしなければいけない、他の債権者からの強い要請がある。

 

「債務超過状態継続の要件」、「回収不能の要件」、「債権放棄の必要性」これら3つを総合的に判断して、当該通達の摘要の可否を判断する必要があります。

 

法基通9-6-2(事実上の貸倒れ)について

 

法基通9-6-2 法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができます。この場合において、当該金銭債権について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとして損金経理をすることはできないものとする。

 

要約すると、金銭債権の全額が、債務者の資産状況、支払能力等からみて回収不能となった場合に、損金を認めるという規定です。

 

つまり、法基通9-6-1とは違い、法律的に債権は消滅していないのだけれど、明らかに回収不能の場合には、貸倒処理を認める取扱いとなっています。

 

注意点としては、回収不能の判断は、納税者側で行わなければいけないという点と、担保物がある場合には、その担保物を処分した後でなければ、 貸倒処理が認められないという点です。

 

回収できないことが明らかになった場合とは??

 

回収不能の判断をするにあたって、「その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合」とは、どのような認定基準を基に判断を行えばいいのでしょうか。

 

この点について、法律上規定はないため、過去の裁判例では、下記のような認定基準が用いられています。

 

「債務者の資産状況、支払能力等の債務者側の事情のみならず、債権回収に必要な労力、債権額と取立費用との比較衝量、債権回収を強行することによって生ずる他の債権者とのあつれきなどによる経営的損失等といった債権者側の事情、経済的環境等も踏まえ、社会通念に従って総合的に判断されるべきものである」(最高裁平成16年12月24日第二小法廷判決)

 

つまり、会社側では、債務者との交渉状況の結果、なぜ回収不能と判断し、最終的に貸倒処理を行ったのか、きちんと説明できるように記録を残しておく必要があります。

 

LINE@サポート窓口はこちら

LINE IDから
@sak8119o
友達追加ボタンから
QRコードから

お問い合わせの際には、
下記の項目をお送りください。
①お名前 ②事業内容 ③お問い合わせ内容 原則として24時間以内に、税理士の有馬から
返事をお送りして、ご相談の概略をお聞きした上で、
ご相談の方法・日時を調整いたします。

※お客様からお問い合わせいただいた内容については、個人情報保護方針を定め、情報の管理保護に努めています。

※お客様からお問い合わせいただいた内容については、個人情報保護方針を定め、情報の管理保護に努めています。