金庫株について

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コラム

金庫株について

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金庫株について

 

自己株式(金庫株)とは

従来、会社は資本を充実し、一度払い込まれた資本は維持しなければならないという資本充実維持の原則により、自己株式の取得を原則禁止されていました。

しかし、平成13年の商法改正により、規制の見直しが行われ、株主総会の決議(非公開会社の場合は、特別決議による3分の2以上の同意)があれば自己株式の取得が認められることになりました。

取得の目的は問わず、また、保有期間や数量に関係なく、取得して保有し続ける(金庫に保管する)ことができるため、一般的に「金庫株」と呼ばれています。

 

自己株式の取得制限

 

・会社法では、自己株式の取得は、「剰余金の分配」とされており、分配可能額の範囲でしか自己株式を買い取ることはできません。

・分配可能額は、基本的には、「その他資本剰余金」と「その他利益剰余金」の合計額をいいます。

・また、最低資本確保の観点から、純資産額が300万円未満の場合には、自己株式を買い取ることができません。

 

会社法461条1項2号

「当該会社の株式の取得により、株主に対して交付する金銭等の帳簿価額の総額は、当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない。」

会社法461条2項

「分配可能額とは、第1号及び一定の額の合計額から一定の額を減じて得た額をいう。1 剰余金の額。」

会社法458条

「株主に対する剰余金の配当は、株式会社の純資産額が300万円を下回る場合には、適用しない。」

 

自己株式の取得割合の制限

 

自己株式の取得割合について制限を設ける規定は無いが、自己株式に議決権は無く、株式会社については、株主総会を開催しなければ、重要事項(毎期の決算承認など)の決議が行えないため、100%の自己株式取得については問題が生じます。

 

会社法308条

「株式会社は、自己株式については、議決権を有しない。」

会社法296条

「定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に召集しなければならない。」

会社法309条

「株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。」

 

自己株式の取得制限違反

 

・会社法461条違反による自己株式の取得については、有効説と無効説の両方が存在するが、会社法462条の規定により、違法による利得を受けた者に対して、賠償しなければいけない義務を課しているため、有効説に立つ見方が強いです。

・会社法458条違反による自己株式の取得については、そもそも法令違反となるため、無効説に立つ見方が強いです。

 

会社法462条

「会社法461条の規定に違反した場合には、当該行為により金銭等の交付を受けた者並びに当該行為に関する職務を行った業務執行者は、当該株式会社に対し、連帯して、当該金銭等の交付を受けた者が交付を受けた金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負う。」

 

自己株式を取得した場合

 

・法人が自己株式を取得するという事は、株主に対して現金が払い戻されることとなり、実質的には配当や原資が行われた事と同様となる、そのため、株主が法人に払いこんだ金額(資本金等の額)より多い部分は、剰余金の配当があったものとみなされます。

 

●法人

・資本金等の額を超える部分の払い戻しについては、みなし配当として源泉徴収義務(税率20.42%)が発生する。

 

●個人

・みなし配当とされた部分については、配当所得として総合課税。みなし配当以外の部分については、株式の譲渡所得として分離課税(税率20.42%)。

損失が出た場合は、他の株式の譲渡利益とのみ相殺可能。

 

所得税法25条1項4号

「法人の株主等が、当該法人の自己の株式の取得により、金銭その他の資産の交付を受けた場合において、その金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額が、当該法人の資本金等の額を超えるときは、その超える部分の金額に係る金銭その他の資産は、剰余金の配当とみなす。」

 

自己株式の購入価額による税務上の違い

 

  • 時価(500)よりも高い価額(800)で法人が買い取った場合

 

自己株     500 / 現金    800

寄付金     300 /

(又は役員賞与、従業員賞与)

 

・法人では、時価と購入価額の差額が、寄付金として認定される。

・譲渡者が法人の役員である場合には、役員賞与として損金不算入。給与所得課税。

・譲渡者が法人の従業員である場合には、従業員賞与として損金算入。給与所得課税。

・譲渡者が第三者である場合には、寄付金として損金不算入。第三者は一時所得課税。

 

  • 時価(500)よりも低い価額(200)で法人が買い取った場合

 

自己株    500 / 現金    200

/ 受贈益   300

 

・法人では、時価と購入価額の差額が、受贈益として認定される。

・時価の2分の1に満たない価額での譲渡については、みなし譲渡課税。

・時価の2分の1以上であったとしても、原則として、同族会社の行為計算否認規定によりみなし譲渡課税。

 

法人税法37条7項

「寄付金の額は、寄付金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず、内国法人が、金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与をした場合における、当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする。」

 

 

名古屋地裁平成4年4月6日判決

「法人の役員に対しその法人から支給される金銭又は経済的利益は、その支給が役員の立場と全く無関係に、法人からみて純然たる第三者との間の取引ともいうべき態様によりなされるものでない限り、原則としてその職務遂行の対価の性質を有するものとみることができる。」

所得税法基本通達34-1

「法人からの贈与により取得する金品に係る所得は、一時所得に該当する。」

 

金庫株保有時の相続評価

 

・自己株式を保有する法人の純資産価額の計算においては、自己株式の純資産価額を控除し、また、発行済株式数から自己株式数を控除して算定する。

 

相続対策としての金庫株の活用

 

  • 相続税の納税資金として金庫株を活用する場合には、税制上の優遇措置がある。

 

・同族会社の株主に相続が発生した場合、非上場株式の換金性が非常に低い反面、相続財産としては比較的高額になることが多いため、相続人は同族株式に対する相続税の納税資金に苦慮することが多い。

・そこで、相続人が相続した同族株式を発行会社に買い取ってもらうことで、相続税の納税資金を手当てする場合には、一定の優遇措置がある。

 

  • 通常、所有している株式を、発行法人に買い取ってもらった場合

 

→ 資本金等の額を超える部分は、「みなし配当」として総合課税。最高税率55%。

 

  • 一方、相続により取得した株式を、発行法人に買い取ってもらった場合

 

→ 「譲渡所得課税」となり、譲渡利益に対して一律20.42%で分離課税。

(措置法9条の7)

→ さらに相続財産を譲渡した場合の譲渡所得の取得費加算の特例」の適用により、納付した相続税のうち、一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができる。

(措置法39条)

 

租税特別措置法9条の7

「相続による財産の取得した個人で、当該相続につき相続税法の規定により納付すべき相続税額があるものが、当該相続の開始があった日の翌日から、当該相続に係る申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に、当該相続税額に係る課税価格の計算の基礎に算入された非上場会社の発行した株式を、その発行した当該非上場会社に譲渡した場合において、当該譲渡をした個人が、当該譲渡の対価として、非上場会社から交付を受けた金銭の額が、当該非上場会社の資本金等の額を超えるときは、その超える部分の金額については、みなし配当の規定は適用しない。」

租税特別措置法39条

「相続による財産の取得をした個人で、当該相続につき相続税法の規定による相続税額があるものが、当該相続の開始があった日の翌日から、当該相続に係る申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に、当該相続税額に係る課税価格の計算の基礎に算入された資産を譲渡した場合における譲渡所得に係る所得税法の規定の適用については、同法に規定する取得費は、当該取得費に相当する金額に当該相続税額のうち政令で定める金額を加算した金額とする。」

租税特別措置法施行令26条の16

「譲渡をした資産が土地等以外の資産である場合。資産の取得の基因となった相続に係る当該取得をした者の確定相続税額に、イに掲げる課税価格のうちにロに掲げる価額の占める割合を乗じて計算した金額。イ 当該確定相続税額に係る当該取得をした者についての課税価格。ロ 当該譲渡をした資産のイの課税価格の計算の基礎に算入された価額。」

 

自己株式取得後

 

  • 自己株式の消去

・法人は、取締役会の決議により、保有する自己株式を消去することができる。

・自己株式の消去を行った場合は、発行済株式数に異動が生じるため、変更登記が必要。

・自己株式の消去は、資本等取引であるため、税務上、損益は発生しない。

 

会社法178条

「株式会社は、自己株式を消去することができる。自己株式消去の決定は、取締役会設置会社においては、取締役会の決議によらなければならない。」

 

  • 自己株式の売却

・法人は、株主総会の決議により、保有する自己株式を売却することができる。

・自己株式の売却は、新株発行と同様の取引と考えられているため、税務上、損益は発生しない。

・自己株式の取得価額と売却価額との差額は、「自己株式処分差損益」(その他資本剰余金)として処理される。

 

会社法199条

「株式会社は、その処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集株式について一定の事項を定めなければならない。」

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